2022-07-19
認知症と診断された方は、ご自身で不動産売却ができない場合があることをご存じですか?
認知症になってしまった親に代わって、不動産売却を進めたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、認知症になった親の不動産売却が認められない理由や、認知症にまつわる不動産売却トラブルについて、そして成年後見制度についてもご紹介します。
東京都立川市で認知症になった親の不動産売却についてお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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認知症の親を持つ方のなかには「介護費用などを捻出するために親の不動産を売却したい」「親が介護施設で暮らしているので住んでいた家を売却したい」と考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、不動産の所有者が認知症になってしまった場合、基本的に売買契約は無効になってしまいます。
では、なぜ認知症の方の不動産売却が認められないのでしょうか。
認知症の方が不動産を売却できない理由には、「意思能力」という法律用語が大きく関わっています。
意思能力とは「自身の行為でどのような法律的な結果が生じるかを判断できる能力」のことです。
民法では、「法律行為の当事者が意思表示をしたときに意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする」と定められています。
不動産の売買は「法律行為」にあたるため、意思能力がなければ売買契約ができないと理解しておきましょう。
また、たとえ子どもであっても、認知症の親の不動産を勝手に売却することはできません。
ただし、認知症には記憶障害や失語、失認といったいろいろな症状があり、その程度も人によって異なります。
認知症の方でも意思能力を認められるケースもあるため、一概に認知症だからといって不動産売却ができないというわけではありません。
親が認知症になり意思能力がない場合は、委任状をとることができません。
「この人に代理人を依頼したい」という意思を表明できないからです。
しかし、認知症であっても意思能力が認められる場合や、身体的な理由で不動産売却を進められない場合は、委任状を用意して代理人を立てることができます。
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ここでは、親が認知症になってしまった際に起こりうる不動産売却トラブルについてご紹介します。
親が認知症になったからといって不動産を勝手に売却してしまうと、兄弟や親族とのトラブルを生む可能性があります。
親が認知症になる前に生前贈与を受けていた場合などをのぞき、名義人でない方が不動産を売却するのはやめましょう。
親の死後、不動産の相続人にあたる親族から民事訴訟を起こされてしまうケースもあります。
一方で、兄弟や親族の誰かが勝手に認知症になった親の不動産を売却してしまっていた、というトラブルも考えられます。
そうならないように、日頃から兄弟や親族とのコミュニケーションを心がけておくと安心です。
認知症の親の介護には、いろいろな費用がかかります。
介護ベッドやおむつといった自宅での介護に必要な費用をはじめ、自宅をバリアフリー仕様にリフォームする費用が必要になるケースもあるでしょう。
また、介護施設に入居する場合にも月々の入居費が必要です。
しかし、それらの介護費用を用意するためだったとしても、親の不動産を勝手に売却してしまうとトラブルにつながります。
もしあなたが親族を代表して親の介護をしているのであれば、親のために親の不動産を売却するのは当然の権利と考えるかもしれません。
しかし、個人の判断で売却を進めてしまうと、ほかの親族から介護の方針やお金の使い方について後から異論が出てしまう可能性があります。
トラブルを避けるためには、事前に相続権を持つ親族の許可が必要です。
また、親のお金を勝手に使いこんだと誤解されないように、介護費用に関する領収書や資料などはすべて残しておきましょう。
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認知症になった親の不動産売却では、成年後見制度を利用することでトラブルを回避できます。
成年後見制度とは、認知症や知的障害などで判断能力が十分でない人に対し、援助する人(後見人)を認定する制度のことです。
後見人になると、意思能力がないと判断された方(被後見人)に代わって、法的な手続きや財産の管理をおこなうことができるようになります。
具体的には、不動産売却をはじめ、被相続人名義の預金の管理や確定申告、生活保護の手続きなどです。
ただし、原則として成年後見制度は被後見人の財産を守るための制度であるため、後見人は被後見人の利益につながらない契約などをすることはできません。
一方で、もし被後見人が不利益な契約を結んでしまった場合などには、後見人の判断で取り消すことができます。
成年後見制度には、主に2つの種類があります。
成年後見制度の種類1:任意後見制度
任意後見制度とは、将来的に意思能力が失われる状況に備え、あらかじめ後見人を決めておく制度のことです。
後見人の選定は親自身がおこない、公証役場で任意後見契約を結びます。
成年後見制度の種類2:法定後見制度
すでに親の意志能力が失われている場合は、法定後見制度を利用することになります。
法定後見制度とは、家庭裁判所が後見人にふさわしい人物を選任する制度のことです。
法定後見制度にはさらに「後見人」「保佐人」「補助人」の3種類があり、それぞれ与えられる権限が異なります。
被後見人の判断能力によって選任される種類が決められますが、この中でもっとも多くの権限を認められているのが後見人です。
選任の基準は、次のようになっています。
後見人は広範で法律的な手続きの代理権を持ち、保佐人や補助人は法律行為の一部において同意見や取消権、代理権を持つことになります。
法定後見人になる条件とは
法定後見人を選任するには、本人、配偶者、四親等以内の親族、検察官、市町村長などが家庭裁判所に申し立てをおこないます。
法定後見人になれるのは、親族や弁護士、司法書士、社会福祉士、検察官、福祉関係の法人、市区町村長などです。
申し立てがおこなわれると、「本人との利害関係」「職業」「経歴」などの情報をもとに、財産の管理に適しているかどうかの調査が進められ、家庭裁判所の判断で法定後見人が選ばれます。
申し立ての際には候補人の名前を申立書に記載することができますが、必ずしもその中から選任されるというわけではありません。
もし後見人になるつもりでいた親族などが選任されたなかったとしても、基本的に不服申し立てなどはできないと考えておきましょう。
相続トラブルの回避などを理由に、弁護士、司法書士、福祉関係の法人が選任されるケースが多くなっています。
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認知症になった親の不動産は勝手に売却することができないため、成年後見制度を利用することになります。
勝手な判断で兄弟や親族とのトラブルを生まないためにも、しっかりと話し合いや手続きなどの手順を踏んで不動産売却を進めましょう。
東京都立川市で認知症になった親の不動産売却についてお悩みの方は、お気軽に株式会社ランドファーストまでご相談ください。